私には妻がいます。
私が28才の時に結婚しました。
子供が欲しいと思った時期もありますが、
30才代後半に子供なしの人生設計。
マンションを購入し、
できるだけ回りに迷惑かけずあの世に行こうときめました。
でも、計算外に私の鬱が発症しました。
子供なしで共働きの我が家はお金の面ではまあまあの所得がありました。
もちろん私のほうが稼ぎは良かったけど、
休職で収入がなくなった。
家で「うんうん」うなってる配偶者を抱え
妻は途方に暮れたとおもいます。
自室から出てきて顔を見せると泣き出すこともありました。
子供もいないし親権問題などありません。
離婚したいといってもおかしくない。
それでも今、一緒にいてくれる妻には感謝しかありません。
精神障害を理由に離婚できるのか? 民法770条から考える夫婦のこれから
「配偶者が精神障害になったら、離婚できるの?」
精神障害を抱えている本人にとっても、支える側の配偶者にとっても、とても重い問題です。
うつ病や統合失調症などの精神疾患によって、それまで普通にできていた仕事や家事ができなくなることがあります。
夫婦関係にも大きな変化が起こるかもしれません。
では、精神障害になったことを理由に、離婚することはできるのでしょうか。
民法770条には「精神病」が離婚原因として書かれている
日本の民法770条は、裁判上の離婚について定めています。
第1項第4号には、
「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」
と規定されています。
つまり、法律上、一定の精神疾患については、裁判上の離婚原因として明確に規定されているのです。
ただし、ここで注意したいのが、
「精神障害になった=離婚できる」ではない
ということです。
条文には「強度の精神病」「回復の見込みがない」という条件があります。
単にうつ病と診断された、精神障害者手帳を取得した、仕事ができなくなった、といった事情だけで、直ちに民法770条1項4号に該当するわけではありません。
もう一つの離婚原因「婚姻を継続し難い重大な事由」
民法770条第1項には、もう一つ重要な規定があります。
第5号の、
「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」
です。
実際には、精神障害そのものだけではなく、病気によって夫婦生活がどのような状態になっているのかが重要になります。
例えば、長期間の別居、夫婦間の交流がほとんどなくなった、生活を共にすることが極めて困難になったなど、さまざまな事情を総合的に考えて、婚姻関係が破綻しているかどうかが問題になります。
つまり、
「精神障害だから離婚できる」
という単純な話ではなく、
「精神障害によって夫婦関係がどうなったのか」
が重要になるのです。
病気になった本人を守る考え方もある
ここで忘れてはいけないのが、精神障害は本人が好きでなったものではないということです。
突然、うつ病になって働けなくなる。
以前は普通にできていた家事ができなくなる。
人と話すことさえ苦痛になる。
そんな状態になったとき、
「病気になったから離婚する」
と言われたら、本人は大きなショックを受けるでしょう。
一方で、配偶者にも生活があります。
長期間にわたって看病や生活の支援を続けることで、配偶者自身が疲れ切ってしまうこともあります。
そのため、離婚を考えること自体を「冷たい」「ひどい」と一方的に責めることもできません。
裁判では病気だけで判断されない
民法770条には、第2項もあります。
第1項第1号から第4号までの離婚原因があったとしても、裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときには、離婚請求を棄却できるとされています。
つまり、たとえ「強度の精神病で回復の見込みがない」という事情が認められる場合でも、それだけで必ず離婚になるわけではありません。
過去の最高裁判例でも、病気になった配偶者の療養や生活について、離婚後の具体的な方策などを考慮する必要があるとされてきました。
これは、病気になった人を何の支えもない状態で放置することにならないようにするという考え方ともいえます。
「病気になったら捨てられる」ということではない
精神障害を経験すると、
「自分はもう以前のように働けない」
「家族の負担になっている」
「こんな自分と一緒にいてもらう価値がない」
と考えてしまうことがあります。
でも、病気になったことと、人としての価値は別の問題です。
夫婦が病気を乗り越えて一緒に暮らしていく場合もあります。
一方で、長い闘病生活の中で夫婦関係が変わり、別々の人生を選択する場合もあります。
どちらが正しいというものではありません。
大切なのは、「精神障害だから離婚」という一言で片付けないことではないでしょうか。
病気によって何が変わったのか。
夫婦としてこれからどうしていきたいのか。
支える側はどこまでなら支えられるのか。
病気になった本人は何を望んでいるのか。
そこを一つずつ考える必要があります。
まとめ
精神障害を理由とする離婚について、民法770条には「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という規定があります。
しかし、精神障害になったことだけで、当然に離婚が認められるわけではありません。
実際には病状だけでなく、夫婦関係、生活状況、これまでの経緯、離婚後の生活など、さまざまな事情が考慮されます。
病気になった本人にも、支える配偶者にも、それぞれの人生があります。
だからこそ、
「病気になったから離婚」ではなく、「病気になった夫婦が、これからどう生きていくのか」
という視点で考えることが大切なのだと思います。
※この記事は民法770条を中心とした一般的な法律情報をまとめたもので、個別のケースについて法的判断を行うものではありません。実際に離婚を検討している場合は、弁護士などの専門家への相談をおすすめします。